活動を始めたきっかけ

私は高校3年生で胃がんと診断されました。
気持ちの整理をする間もなく、胃の全摘出術をしました。
当時はSNSなど発達しておらず、一番の情報源は周りにいる大人たちでした。
自分と同じように10代でがんを発症し、それを克服したという前例が耳にはいることはなく、死に対する恐怖心と、更には、生き延びたとして、こんな体でどう生きていけばいいのかと、孤独感や閉塞感でいっぱいでした。
あの頃、そんな不安な気持ちや悩みなどを安心して話せる場所があれば、もっと楽に生きることができたのではないかという思いが、ずっと胸にありました。

「がん」という病気には、それそのものの辛さだけでなく、罹患した人間の心、そしてその家族や友人、周囲のひとの心をも蝕んでしまう力があります。
そして、病気をしたあとに待ち受けていた人生は、想像以上に厳しい面も多々ありました。
生きるために辛い治療に耐えたのに、その命の灯を、何度も自分自身で消してしまおうとしたことがあります。
しかし同時に、手を差しのべてくれる人もいました。
いつからか、せっかく生かされたこの命を生かしたいと思うようになりました。
自分には無縁だと諦めていた、結婚、出産を経験したことを機に、若年者が病気を持って生きることへの理解を、幅広い世代、沢山の人に、深めてほしいなという思いで、活動をスタートしました。

活動に対する思い

がんになった当時、私はあらゆるものを諦めざるを得なくなりました。
思春期真っ只中で、がんになったことは、何よりも精神的な負担が大きく、その感情は絶望から、次第に怒りや虚しさに変わり、同級生たちが順調に人生を歩む姿を見て、ひとり取り残されたような気持ちにもなりました。
外の世界が怖くもなりました。
当時の私にとっては、病気になったことは今後の人生においてマイナスでしかないというイメージが強く、長年、がんになったことは公にできませんでした。
まずは、私と同じように外の世界が怖くなったり、孤独や閉塞感を感じている人に
あなたはひとりじゃない。
と、伝えたい。
One Heartを、一歩踏み出すときの足掛かりにしてもらいたい。そう、思っています。